【2025年最新調査】親の9割が学校教育に求める「非認知能力」とは?

【2025年最新調査】親の9割が学校教育に求める「非認知能力」とは?

非認知能力が今、なぜ注目されるのか?

近年、教育現場や保護者の間で注目度が急上昇しているのが「非認知能力」です。
「非認知能力」とは、学力テストの点数や偏差値といった数値で測ることのできない、心のあり方や意欲、人との関わり方に関する能力を指します。

2025年の最新調査結果によると、保護者の約6割が非認知能力を「よく知っている」と回答しており、その認知度は非常に高いことがわかります。また、9割以上の親が学校教育での非認知能力の育成強化を期待しているという結果も出ています。

非認知能力という言葉を知っていますか?

イー・ラーニング研究所調べ

本記事では、最新の調査結果を踏まえながら、非認知能力の定義から、保護者が期待する育成の場、そして非認知能力が将来にどう役立つのかを詳しく解説します。


※2025年10月に株式会社イー・ラーニング研究所が実施した、子どもがいる親世代が対象の「2025年総括『非認知能力』に関する意識調査」

保護者の認知度が高い「非認知能力」の具体的な定義

調査結果から、保護者の非認知能力に対する認知度は高い一方で、具体的に思い浮かべる能力にはばらつきがあることが明らかになりました。
保護者が「非認知能力」から思い浮かべる能力として、「協働性・コミュニケーション力」が最も多く挙げられましたが、他の回答にも大きな差はなく、保護者は非認知能力を多様な能力の集合体として捉えていることがわかります。

イー・ラーニング研究所調べ

非認知能力とは何か?

非認知能力は、IQ(知能指数)や学力といった「認知能力以外の、感情や意欲、対人関係などに関する多様な能力の総称です。具体的には、以下のような能力が挙げられます。

非認知能力の主な例具体的な行動や特性
協働性・コミュニケーション力他者と協力する力、自分の考えを適切に伝える力
自己肯定感・自尊心ありのままの自分を受け入れ、尊重できる気持ち
粘り強さ・グリット (GRIT)目標に向かって困難に立ち向かう情熱とやり抜く力
自律性・自己調整能力自分で考え、行動し、感情をコントロールする力
好奇心・探究心新しいことへの興味を持ち、深く掘り下げようとする意欲
非認知能力とは

なぜ今、「非認知能力」の重要性が増しているのか?

調査結果から、約9割の親が非認知能力は「将来の進学や就職に役立つ」と回答しており、さらに7割の親が昨年度よりもその必要性が増加したと感じています。

イー・ラーニング研究所調べ

これは、社会が急速に変化し、予測が難しい時代(VUCA時代)において、単なる知識の量ではなく、自分で考え、問題解決し、他者と協働して新しい価値を生み出す力が求められているからです。特に、保護者が非認知能力が必要な場面として「進路・キャリア選択」を最多に挙げている点からも、将来を切り拓く土台となる力として認識されていることが分かります。

親が期待する育成の場:学校と家庭の役割

保護者の期待は、非認知能力を育む場として、学校教育に強く向けられています。

学校教育に期待される非認知能力の育成

最新調査では、親が期待する非認知能力を育む場として1位が「グループワークや討論などの授業」という結果になりました。

イー・ラーニング研究所調べ

これは、座学による知識の伝達だけでなく、実際に他者と関わり、意見をぶつけ合い、協力し合う活動を通じて、非認知能力が育まれると考えている保護者が多いことを示しています。

  • グループワーク: 意見をまとめ、役割を分担する中で「協働性」「コミュニケーション力」を養う。
  • 討論: 自分の考えを論理的に表現し、多様な価値観を理解する中で「思考力」「自律性」を育む。
  • 探究活動: 自分でテーマを設定し、粘り強く取り組む中で「好奇心」「グリット」を高める。

学校現場の先生方にとっては、これらの「活動」や「体験」を重視したカリキュラムを充実させることが、保護者のニーズに応える鍵となります。

保護者の抱える課題:「情報不足」

一方で、非認知能力を高めるうえで「情報不足」が課題と感じている親が多いことも判明しています。

イー・ラーニング研究所調べ

「非認知能力」の定義が曖昧な点、また「どうすれば、子どもの非認知能力を効果的に伸ばせるのか」という具体的な方法論や、学校での取り組みに関する情報が不足していることが、保護者の不安につながっています。

この情報不足を解消し、保護者と学校が連携して非認知能力の育成を進めることが、今後の教育にとって非常に重要です。

将来に役立つ!非認知能力が不可欠な理由

保護者の9割が「将来の進学や就職に役立つ」と回答している非認知能力は、具体的な進路の場面でどのように活用されるのでしょうか。

イー・ラーニング研究所調べ

1. 進学・キャリア選択における活用

大学入試や就職活動では、近年、人物評価の比重が高まっています。

  • 総合型選抜(旧AO入試)や学校推薦型選抜: 大学が求める学生像(アドミッション・ポリシー)に対し、これまでの活動実績や学ぶ意欲(好奇心・自律性)、将来の目標(目標設定力)などをアピールすることが求められます。
  • 面接・グループディスカッション: 初めて会う人とも円滑に意見交換できるコミュニケーション力や協働性が不可欠です。

非認知能力は、「私は何をしたいのか」「なぜそれを学びたいのか」という自己理解を深め、それを他者に伝える力となります。

2. 社会で求められる「やり抜く力」と「レジリエンス」

社会に出ると、答えのない課題に直面したり、失敗を経験したりすることは避けられません。

  • グリット(GRIT:目標に向かって、困難な状況でも諦めずにやり抜く力は、仕事での成果を左右します。
  • レジリエンス(精神的回復力):失敗や挫折から立ち直り、再び挑戦する力は、変化の激しい社会を生き抜く上で必須の能力です。

これらの非認知能力は、学力だけではカバーできない、社会で活躍し続けるための「地力」となるのです。

非認知能力を伸ばすために、今できること

保護者の高い期待に応えるためには、学校と家庭が連携し、具体的な取り組みを行うことが重要です。

1. 「体験」を重視する

最新調査で親が期待する「グループワークや討論」のように、非認知能力は体験を通じて育まれます

  • 家庭での体験: 役割分担のある家事、家族での目標設定、旅行先での計画作りなど。
  • 学校での体験: 失敗してもいいから挑戦を促す活動、他学年や地域の人との交流など。

2. 「対話」を通じて自己肯定感を育む

非認知能力の根幹には自己肯定感があります。

  • 結果だけでなく、「プロセス」を褒める:「テストの点が良かった」だけでなく、「難しい問題に粘り強く取り組んだ姿勢」を具体的に認めましょう。
  • 「どう思った?」「なぜそうしたの?」と問いかける:子どもの感情や考えを引き出す対話は、自己認識力や自己調整能力を高めます。

3. 情報収集と連携

保護者が課題と感じている「情報不足」を解消するために、学校は非認知能力育成の取り組みや成果を積極的に発信することが求められます。保護者も積極的に学校の教育方針を理解し、家庭での関わり方について学ぶことが大切です。

まとめ

2025年の調査結果から、非認知能力は保護者の9割が学校教育に強化を求める、将来に不可欠な能力であることが明確になりました。

非認知能力は、知識の習得とは異なり、日々の生活や活動の中での試行錯誤を通じて、時間をかけてゆっくりと育まれます。

子ども達の未来を豊かにするため、ぜひこの機会に「非認知能力」への理解を深め、家庭での対話や学校との連携を通じて、その育成に取り組んでみてください。

参考文献

  • 株式会社イー・ラーニング研究所(2025/10)「2025年総括『非認知能力』に関する意識調査」
  • ジェームズ・J・ヘックマン(2015/6)「幼児教育の経済学」

非認知能力コラム